『妊娠カレンダー』未読の小川洋子ファン

小川洋子先生が紫綬褒賞を受賞されました。おめでとうございます。

記事を公開したつもりが眠らせていました。もう半年近く前の話題です。

 

インタビュー動画をYou Tubeで拝見しましたが、ご自宅(だと思うのですが)がいかにも小川洋子が住んでいそうな家という佇まいで大変感動致しました。

 

 

私は初読の小川洋子作品が『博士の愛した数式』がというメジャーなパターンなんですけれども、当時は映画を多く見ていたので「映画の原作」という認識で読んでいまして、その後『薬指の標本』を読んだあたりから小川洋子作品を好んで読むようになりました。『博士の~』の作者が書いたという先入観を持って『薬指の標本』を読んだので衝撃を受けたんですよ……

小川洋子先生の作品は、没入感というか、読んでいると自分の心の深く深いところに沈んでいくような気分になれるのです。ゆっくりと水に潜っていくようなイメージ。

地面を掘り進むのが小島てるみ作品、小説じゃないけど物理的に心臓を開かれて掘り進まれる感覚になるのが上田久美子作品なんですがそれはまた別の機会に。

 

ちなみに『博士の愛した数式』未読・未視聴の方は、先に小説を読んでから映画をご覧になることを強くおすすめします。

 

「読者と1対1の関係でありたい」という言葉に始まり、インタビューを聞いて、自分が小川洋子作品を好きであることの理由が分かったような気がしました。「これは私のための、私のためだけの物語だ」という作品に出会えた時の感動が、何の抵抗もなく心に沁みていく、そんな救済を私は物語に求めていて、それを静かに差し出してくれるのが小川洋子先生の作品。

 

おすすめするならば『約束された移動』は短編集なので読みやすいと思いますし、『貴婦人Aの蘇生』も良い。私、本当にこの題材好きよね……と思いながら読みました。

薬指の標本』は映画化されているとはいえ邦画ではなくてフランス映画なのでお察しと言いますか、かなりフェティッシュな内容なので人を選ぶ……かな……? 『ホテル・アイリス』も似た雰囲気がありますが、いやらしさを感じないのは一人称視点で描かれているからなのか感情的な描写が抑えられているからなのか分からんけど読みやすいよ!
(記事を眠らせている間にホテル・アイリスが映画化されました。監督と解釈違いっぽいので見るかどうか迷っています)

 

ここから余談。

母方祖父、母、父の3人が読書好きという環境で、寝かしつけは絵本の読み聞かせという育てられ方をした人間が読書好きになるのは自然な流れですが、私の好きなジャンルと祖父・母・父の好きなジャンルが被らなかったので3人の蔵書はほとんど読んだことがありません。祖父は新書やドキュメンタリーが多くて、両親はSFとミステリーかな。あと母は専門書までは行かないけど二次資料的な本が好きなので、吉村作治太陽王ラムセスが全巻並んでいたりしました。星新一ぐらいは読んだな。今思うとぽつんと北杜夫が並んでいたのは不思議かもしれない。いや、母が微ハルキストだったこともあるのでそう不思議ではないかも。まあとにかく突然小川洋子の本があったら意外に思うようなラインナップです。今実家の本棚読んだら楽しいかもな。

私はいつも絵本を読み聞かせてもらっていましたが、上の弟は子守唄、下の弟は拳の殴る時に当たる面をさするという方法で寝かしつけられていて、私は本好き、上の弟は芸術系が得意、下の弟は変わり者というふうに育ちました。「寝かしつけを省エネ化していった結果」と後に母が語っております。

 

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

約束された移動 [ 小川 洋子 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2022/3/25時点)