バービー(2023)、アイ・アム・サム(2001)

「バービー」と「アイ・アム・サム」を観た。
ネタバレあります。

 

愛情とはなにか?

バーバラに、ルーシーに何を思った?

 

この2つの映画を並べて感想を書いている時点でネタバレでは?

同時期に観たのはたまたまです。

BIRD OF PREYを観てマーゴット・ロビー大好きになったので、バービーはずっと観たくて、ネトフリに来ていたのでGWに観ました。全てがグッとくる映画で、ほんとなんであんな馬鹿なミーム*1に乗ったのかと……かえって悲しくなった……

 

バービー人形のことをふんわりとしか知らなくても、最初の10分でめちゃくちゃ分かりやすく説明してくれるので大丈夫です!
フェミニズムの変遷100年分を10分で。100年よりもっと長いか。

 

街がピンク色でなおかつかわいいのが最高でした。自分の子どもが成長するにつれて、ピンク色のデザインが軒並みダサくなっていくのをちょうど目の当たりにしていたところだったので、やっぱりダサいのはピンクだからじゃないよなと再認識。当たり前だろサンリオショップにあるマイメロのグッズ全部かわいいぞ。

 

マーゴット・ロビーはあくまで「定番型バービー」なのが良かった。ナンバーワンではなくオンリーワンなので、原点にして頂点みたいなのはいらないのです。
ナンバーワンではなくオンリーワンの意味、私のブログを読まなくてもバービーの冒頭10分見れば分かるので今すぐスマホなりパソコンなりを閉じてバービーを観てください。


映画全体は分かりやすいようでいてケンの解釈は一捻り入れてあるので、現代日本に生きてる男性からどんな感想が出るのかすごく気になるんですが、リトマス試験紙になってしまうのであんまり身近な人におすすめするのも怖いところ。女性に対して差別意識を持っていないと自覚している人でも無意識下にある差別意識が出てきてしまいそうな怖さがある。
まあ大抵の人って「差別はよくない、自分は差別しないように気をつけよう」と思って生きてるのではないかと思うのですが、バービーの感想を語ることによって「めっちゃ差別意識あるやん!!!」というのが出てしまいかねないので、本人が意識できてればいいですけど無意識なまま垂れ流してしまった上に誰からも訂正されないとかいう事態が起こり得ると思うと、怖いよね~
差別意識あるのはしょうがないけど、自分のそれに気付く努力と是正する努力はするべきである。

 

かといって女性の感想が賛否ないかというと絶対かなりあると思うのですがどうですか? 私はかなり感情移入しながら観たから号泣したけど、人によってはあのラストけっこうキモくない? 別のヤバ思想と紐づけられそうなところもあって、単純にガールズエンパワメント映画としておすすめするには危ういところがあるなと思います。

 

 

かなり感情移入しながら観た私は、その後「アイ・アム・サム」を観てまた号泣するわけですよ。

アイ・アム・サム」子どもの頃に観た記憶はあるけど内容全く覚えてなかった。あらすじ未満の記憶しかなかった。小学生が観たってまあそうなるわなという映画でした。

ルーシーが賢すぎて並の子どもには感情移入しにくい、とかよりも、単純に法廷劇なので小学生の私の記憶には残らなかったっぽい……

途中でサトラー博士が出てきて動揺した(私はジュラシック・パークが大好き)けど面白かったです。
夜、お風呂上がりにドライヤーをかける10分間だけ、字幕をつけて映画を観るんですけど、アイ・アム・サムは見入っちゃってでも展開がつらすぎて「ハッピーエンドが見えなくて怖いので逆に最後まで一気見しちゃいたいけど、敏腕弁護士がついてくれることになったからきっとなんとかなるのだろう、大丈夫大丈夫、寝よう……」と思って寝ました。ハッピーエンドじゃなかったら立ち直れない心の傷を負ったと思うので、ハッピーエンドで本当に良かった。

 

序盤の育児をがんばるところ、☆初心者パパのこそだて奮闘記☆みたいなノリだったけどちょっと自分の記憶が鮮明すぎてそれどころじゃなかったね! 子どもが生まれて退院して最初にミルクを作った時に、病院と家で勝手が違うからなかなか作れなくて、泣いてる子どもの横で泣きながらごめんねごめんねと言っていたことを思い出しました(U字工事

 

「あなたは最高の親である自信がありますか?」に嘘偽りなくYesと答えられるかどうか、Yesと即答する気合いで子育てしているだけで、本当に心の底からYesかどうかを自問自答しながら生きてるのが親ってもんじゃん、検事のいじわる! 分かってるくせに!

 

ビートルズの曲の描かれ方が美しくて泣いちゃったな。すぐドラッグと結びつける浅はかさ、ジブリの都市伝説みたいだな。いや、ミュージシャンがドラッグやり過ぎなんだよな。ゴールデンスランバー伊坂幸太郎原作の映画の印象が強いのでとてもドラマチックに感じる。

 

サムとルーシーの周囲の人々が優しい。優しいというか、善人。善人というのはあるべき姿という意味で言っています。検事の意地悪さを仕事柄ととるなら、悪意を持った人が出てこないところがまたつらさに拍車をかけていた。
言うとすればリタが善人ではない側の人として登場するんだけど、リタが一番、あるべき姿であろうともがいているんだよね。かといいってサムと対の存在かというとそうでもなく、サムが子育てに悩み奮闘する姿をがっつり見たあとなので、ああこの人は同じように困っているんだなと温かくも胸が締め付けられる思いで見られるわけです。

 

親は一人でもいいけど、関わる大人は多い方がいい。関わる、というかたすけてくれる人。人間全てのことができるわけではないので、たくさんの中にルーシーにとってのサムがいればいいわけで、リタのようにがんばりすぎなくていいのだ。

 

母子の話、父子の話、と並べたけど、バービーは父親不在なのに対ーするんだな。してアイ・アム・サムには「母親が必要」っていうくだりもあって、結局母なのか……と父の扱いの軽さ(それによってサムとルーシーの絆が際立つのかもだけど)に悲しくなったり。そうしてきたのは過去の父親達だけど、今の父親に背負わせていいものでもないよな。先達に従って自ら背負っちゃう人もいるけどね。父親の立場なんて無いようなもんですよと笑いながら責任逃れをする。でもそれは配偶者と子どもからの信頼と引き換えなので。代償は大きい。

 

親が子どもにしてあげられることってほんと少なくて、闇雲になんでもかんでもやってあげるということもできなくはないのですが、一番子どものためになることが何なのかと考えると、可能性を広げてあげることなのかな。学費を用意するのも可能性を広げる手段の一つだよね。

あなたは最高で、唯一無二で、なんでもできる、ミラクルでワンダフルでビューティフル! と子どもたちに伝え続けること。それが世界を明るくするんだなあと思った映画二本でした。

 

 

あと「ビューティフル・ゲーム」も観たんですけど、アメリカの女子ってほんとサッカーするんだな! アメリカで女子といえばサッカー、サッカーといえば女子。カレッジくらいならJ2でたたかえるまでありそう。

 

次は「レディ・バード」見ます!