もののけ姫

子供の頃に見た映画を大人になってから見ると、昔は分からなかったことが分かるようになった! という発見や、自分の物の見方の変化という体験から、より特別な作品として胸に刻まれるという傾向はあると思います。今回もののけ姫がそれに加わりました。

 

私が初めてもののけ姫を見たのは小学校中学年かな? おじいちゃんに劇場に連れて行ってもらいました。

その後にも何度か見てると思ってたけど、全然ちゃんと見てなかったらしい、ということが今回の金曜ロードショー視聴で分かった。いろんな込められた意味とか、言葉とか、全然分かってなかった。まだ誤解しているところはあるかもしれません。まあ、いいんですよ。賢い考察とかは賢くて詳しい人が書いてるから。

 

 

アシタカが旅に出る理由から誤解していて、呪いを解く旅だと思っていたら死出の旅だった。呪いを解くことはできないが、ただ死を待つのではなく、自分が受けた呪いがどのようにやってきたのかをたどる旅。
ここが分かっただけでもだいぶ見方が変わりました。ぐっと物語に引き込まれた。

 

サンはアシタカを助けようとしたのではなかったんですね。シシ神様に判断を委ねて、シシ神様がアシタカに命を与えたから助けるという行動原理だったんですね。だからか介抱がストロングスタイル。さっきまでお腹に穴空いてた人が干し肉を食べるのはけっこう難しいよね。

アシタカが、サンが人間であることにこだわる理由もあんまり分かってなかったんだけどこれは今回もあんまり分からなかった。でもサンが山犬の子として生きてきたことにも敬意を表していて、ほんと誠実な男だなあと思いました。

タタリ神を恐れる人間と、タタリ神になることを恐れるサンとでは、相容れないでしょう。生い立ちも育ってきた環境も違いすぎる。そしてタタリ神含めて山の神々を敬いつつタタリ神を恐れないアシタカは確かに橋渡しができる人物であった。

 

美輪明宏さんのモロ……めっちゃいい……この良さはこの歳にならないと分からなかったよ。サンに語りかける声の愛情深さよ。最後まで誇りを大切にする母に育てられたから、サンは身を呈して乙事主様の誇りを守ろうとしたのだな。人間に捨てられたサンを自分の子として誇り、サン本人にも山犬としての誇りを教えたモロ、偉大~~

でもモロに教えられるのは山犬としての誇りだけで、人間としての生き方は教えられないので、アシタカに向かってサンをよろしくというわけにも、サンにアシタカと生きなさいと言い含めることもできないところ、それもまた愛だなと思いました。子に自分で選択させることは時には愛だったり時には責任放棄にもなりますが、サンがどの道を選んでもそれを尊重するという愛が見えたのが良かった。うまく言えなくてもどかしいけど。

 

一番ラストの、木霊がカタタ……っていう場面で一番泣いた。
泣いたっていう感想は安直に使いたくないんですが、泣くというのは感情の揺れ動きがストレートに体の反応に出ているものなので、その時に抱いた感想は大切にしたい。
もののけ姫に出てくる神々や精霊の中でも、木霊は一番身近に感じられる精霊で、山に命が戻った象徴として木霊がラストで登場すること、私の近くにも木霊はいるのかもしれない(いてほしい)気持ち、とかで泣いちゃった。

 

あとたたらの村に行ったあたりで、一緒に見ていた夫と、物々交換社会と貨幣経済の話をしていました。有能な独裁者がいる小さなコミュニティで物々交換が一番安定して運営できるのか? それでも貨幣は作った方がいい? リスクヘッジが弱い? 小さなコミュニティこそ民主主義できそうだけど、まとめる人がいないとかえって揉めるのかな。それなら有能で人望のある独裁者がいた方がいい。ただし有能で人望のある独裁者というのはなかなかいない。要するにたたらの村は天下統一の動きに巻き取られない限りはいい感じに復興して存続していくのでは? という結論です。

 

ヤックルは安定してかわいかったね。

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あと全然関係ないんですけど、昔「タワーⅡ」というパソコンゲームがあって、ちょうどもののけ姫が公開された頃によく遊んでいたんですよ。ビルを作っていくゲームなんですが、街頭ビジョンみたいな広告を設置することができて、その広告をクリックすると放映されている映像が見れるっていう、おまけみたいなコンテンツがあったんです。その中に、映画の予告編という体で「ものもち姫」というのがあって「どけどけー! 私はものもちがいい、ものもち姫だーっ!」と言いながらサンっぽい少女が走り抜けていく、という10秒のくらいの映像が流れるんですが、それが色濃く記憶に残っているんですよね。「星さんって物持ちがいいね」と言われることが多くて、言われる度に思い出してたから記憶が補強されてしまって……
実際は、物持ちがいいのではなくてボロボロになっても買い替えずに使っているだけです。持ち物が軒並みボロいだけ。でも愛着があるから捨てられな~いけど手入れするほどの几帳面さもな~いっていうものぐさ姫です。